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漢方薬と腸内環境の関係とは

漢方薬と腸内環境の関係とは

健康情報などで話題に上ることが多い “”は人間にとって重要な器官のひとつです。
最近では、“腸活”や“腸内フローラ”などの言葉も広く浸透しているようです。

ところで、この腸の状態──つまり「腸内環境」は、漢方薬と密接な関係にあります。
じつは、腸内環境の良し悪しで、服用した漢方薬の吸収が悪くなってしまうと言われているのです。
漢方薬を飲んでも、なかなか効果を実感できないという人は、腸内環境を整えることを意識すると良いかもしれません。

今回は薬剤師である筆者が、漢方薬と腸内環境の関係について解説します。

腸内環境を整えることの重要性

漢方薬に含まれる成分は、その多くが“糖”と結合して存在し、化学の世界ではこの結合を「β-グルコシド結合」と呼んでいます。もっとも、このままだと水溶性が高く、漢方薬の成分が十分に消化管から体内に吸収されにくいとされています。

β-グルコシド結合は、“腸内細菌”によって加水分解されて、はじめてその成分が体内に吸収されます。そのため、食事や年齢、併用している薬などの影響で腸内細菌叢(※)が変化すると、漢方薬の効き目に個人差が生じてくるのです。

じつは、漢方薬に配合されている多くの生薬が、この仕組みにより分解吸収されています。
中には、この加水分解の影響を特に強く受ける生薬もあります。ですから、漢方薬の恩恵を活かすために、腸内環境をしっかり整えておくことが大切なのです。

※腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)…腸内でバランスを保ちながら共存している腸内細菌の集まり

腸内環境を整える“ツボ”を紹介

腸内環境を整えるために、ビフィズス菌や善玉菌などの腸内細菌の存在は欠かせませんが、前提として大事なことは、肉食や糖質に偏らないバランスのとれた食事を心がけることです。

また、それ以外にも有効な手段として“ツボ”があります。
ツボは神経が集まった部分です。ですから、腸に関わるツボを押すことで自律神経が刺激され、それが脳から腸へと伝わり、働きが改善するとされています。
今回は、腸内環境を整えるツボをいくつか紹介しますので、空いた時間を使って刺激してみましょう。

<大腸兪(だいちょうゆ)>

腸内環境を整える“ツボ”<大腸兪(だいちょうゆ)>

背骨と左右の骨盤の境目にあります。
カラダの中心に向かって両手の親指で押してみましょう。冷えやストレスなど、さまざまな原因で起こる便秘・下痢の改善に役立ちます。

<大巨(だいこ)、天枢(てんすう)>

腸内環境を整える“ツボ”<大巨(だいこ)、天枢(てんすう)>

大巨はヘソの下にあり、天枢はヘソの両脇にあります。
ヘソの下にクッションを置いて、うつ伏せに寝転がるだけでも刺激を与えることができます。慢性的な便秘の改善につながり、デトックス効果が期待できます。

<腹瀉点(ふくしゃてん)>

腸内環境を整える“ツボ”<腹瀉点(ふくしゃてん)>

手の甲の中指と薬指の骨が交わる少しくぼみがある部分です。
急な下痢を起こした時などに刺激してみましょう。

“腸内環境を整えることが、万病予防につながる”とも言われるほど、 腸は私たちの健康維持にとって大事な器官です。食生活や睡眠、運動などに気をつけて、腸の機能を高める努力を心がけましょう。

また、胃腸の機能を高めたり、改善することに期待のできる漢方薬もありますので、かかりつけの医師や薬剤師、登録販売者に相談してみてください。
今回紹介したツボの刺激も忘れずに。


by ekanpou88 | 2019-07-18 11:40 | 漢方薬