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そのツライ「肩こり」、漢方薬で対処できるかも?

そのツライ「肩こり」、漢方薬で対処できるかも?

多くの人が悩んでいる“肩こり”

厚生労働省の平成28年「国民生活基礎調査の概況」で、女性の第1位、男性の第2位となった症状──それが「肩こり」です。

最近はパソコンだけでなく、スマホ(スマートフォン)の使用で、気がついたら、首から肩がカッチカチ!なんてこともよくあるのではないでしょうか。
特にこの季節は、寒さやコートなどの重い衣類を着ることもあって、肩こりがひどくなりがちです。そんなガンコな肩こりをどう改善すればいいか。

巷ではいろいろな“肩こり解消法”が紹介されていますので、ここでは漢方の視点から、肩こりを捉えていきます。

筋肉の緊張と血行不良による悪循環

一般に肩こりは、頭や腕を支える「僧帽(そうぼう)筋」や「肩甲挙(けんこうきょ)筋」など一連の筋肉に負荷がかかり、小さな傷ができたり、血行不良が起こったりすることで生じると考えられています。
筋肉が固くなると酸素不足が起こり、筋肉組織から痛み物質が作られます。これが肩こりの痛みをもたらすのです。

肩こりの原因は、デスクワークなどによる姿勢の悪さだけでなく、頸椎の病気や高血圧、消化器の病気、精神神経系の不調、メガネの不適合、歯のかみ合わせなど多彩です。
近年はストレス由来の肩こりが多いという報告もあります。

漢方では「血」や「水」の滞りとみる

では、漢方では肩こりをどう捉え、対処していくのでしょうか。

漢方では「気・血・水(き・けつ・すい)」という、病気に対する独自の“ものさし”があります。
」は元気の気、つまり生命エネルギーのようなもの、「」は血液やその循環、「」は体液など血液以外の水分を指しています。

そして、肩こりを漢方的にみた場合、血が滞る「瘀血(おけつ)」や、水が滞る「水毒(すいどく)」が影響しており、その根幹に“冷え”があるといいます。
冷えがあると、血や水の流れが滞りやすく、“こり”という状態を生み出してしまうのです。

気・血・水(き・けつ・すい)

肩こり対策に漢方薬

肩こり対策というと、スッとする消炎鎮痛薬の塗り薬というイメージがありますが、漢方の考え方では、カラダの中から“こり”を和らげていきます。

そんな肩こりを改善する漢方薬のひとつに、「葛根湯(カッコントウ)」があります。
風邪薬というイメージがありますが、カラダを内側から温め“こり”を改善するといわれています。
このほかに、「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」や「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」なども用いられる場合があります。

だるさや病気とは言えない不調への対策は漢方薬がオススメ

随伴症状や体格などによってその人に合う漢方薬が違いますので、医療機関で漢方に詳しい医師に診てもらいましょう。また、薬剤師に相談してみるといいでしょう。

漢方の得意分野でもある「養生」という観点から見ると、一般的な肩こりであれば、入浴や蒸しタオルなどで肩を温めるのが効果的です。
マッサージは強すぎると筋肉を傷めるおそれがあるので、「気持ちよい」という強さにしたほうがよさそうです。

目や心臓…怖い病気の可能性も

肩こりは日常的な症状ですが、必ずしも姿勢の悪さや長時間のパソコンやスマホの使用などが原因で起こるとは限りません。

例えば、急に起こる肩の痛みは心筋梗塞や狭心症などの関連痛の可能性も。
また、眼精疲労や歯の食いしばりなどで肩こりが起こることもあります。
なかなか解消しない、心当たりがないのに肩が急に痛くなった、肩こり以外につらい症状があるという場合は、早急の対応が必要なケースもありますので、まずは病院を受診することが大切です。


by ekanpou88 | 2019-07-18 12:00 | 漢方薬